赤子としろうお


珍しく朝10時に起床。

この日はdaiくん夫妻とその娘さん(生後4ヶ月)を迎えての昼食会だったのです。我々文芸部仲間に対しては娘さん初お目見えということで、みな楽しみにこの日を待っていたのでした。まあ俺は4時間ぐらいしか寝てませんでしたけどね……睡眠リズム直らず(しかし他のひとたちはもっと全然ハードスケジュールであったということを後に知る)。集合場所が地下鉄室見駅ということで、普通なら当たり前に地下鉄で行くところなわけなんですけれども、最近運動不足なので……などという何となくな理由をなぜか捨てられずに12kmの道のりを自転車で向かってみた。時間計算が微妙だったわりにはぴったりの時間に着けて良かった。

そして予約してあった店に向かいました。早春限定の室見川名物、しろうお料理のお店。この時期だけ、川沿いにプレハブを建てて営業しているのだそうです。中に入ると、一面畳敷きで、そこにずらりとコタツ。ちょっと縦長のオープンキッチン和室ワンルームにコタツをいっぱい並べたみたいになってました。窓の外は川ぎりぎりで、すぐ下方に室見川のゆるやかな流れが広がっています。そこにはしろうお漁の仕掛けが川を横断するように設置してあって、設置用に打ち込んである無数の杭ひとつに一羽ずつカモメが止まってました。カモメたちはちょうど椅子取りゲームをするみたいに交代で杭に止まったり飛んだりしていました。

とりあえずみんなでコタツに入ってぬくぬく待ちます。待ちつつ、初対面の赤ちゃんをみんなで可愛がりました。思ったよりも結構大きくてびっくり。落ちそうなほっぺたにもびっくり(笑)。もうだいぶ目は見えている様子で、目の前で揺れるものにかなり反応するそうです。長い髪の毛とか。お店の人の黄色いエプロンにものすごい心惹かれてて面白かった。そしてみんなでかわるがわる寄ってたかって赤ちゃんを喜ばそうとあれこれしたり携帯で撮ったりデジカメで撮ったりビデオで撮ったりしていました。しかし赤ちゃんに向かって声かけるときってみんな謎の発声になるよなあー、と思いつつ自分がやってみると誰よりも奇妙な声をあげてしまうという罠。

そうこうしているうちに料理がやってきました。まず真っ先に運んでこられたのが本日のメインディッシュ、と、言うか、大きな陶器のお皿に元気良く泳ぐ無数のしろうおさんたち。名物しろうおの踊り食いです。ステンレスの網杓子で器からしろうおを生きたまますくって、うずらの卵を三杯酢で溶いたものにつけて食べるのです。酢につけた瞬間ものすげえ暴れます。そのうち静かになります。でも箸でつかもうとするとまた動き出します。俺は踊り食いを食べるのは初めてだったのですが、始めのうちはちょっと抵抗があったものの、そのうち慣れました。口の中でぷるぷる動いたりして、なんか噛むの嫌だなあと思ったりしつつも、噛んでぷちとつぶすと、あれ、美味しい。つうかやっぱ美味しいものは食べ物だと認識するんですよ人間てやつはよ。一匹残さず大事にいただきました。ちなみに目の前のゆくんが異常なくらい嫌がってて面白かったので、「どこまでが生き物でどこからが食べ物なのかを確かめながら食べるんだよ!」とアドバイスして追い討ちをかけておきました。いいんだよ俺仏教徒だから。浄土真宗。そしてPONくんと二人でたくさん注ぎ足してあげました。えへ。

その後にやってくる料理にもことごとくしろうおが入ってました。野菜のかきあげ、茶碗蒸し、お吸い物、炊き込みご飯としろうおづくし。全部食べると結構な量で、皆かなり腹一杯になった模様でした。腹一杯の美味しい食事。昼食のピーク時間を過ぎて客もまばらになった春近き昼下がりの川沿いの店。畳敷きにこたつ。適度なビール(笑)。可愛い赤ちゃんを可愛がる女性陣。窓の外の鳥たちをぼんやりと眺める男性陣。このシチュエーションでは、寝っ転がるひとが出てくるのも致し方ないと言えましょう。つうか本気で寝に入ってたのもいましたけどな(笑)。俺はこたつで新聞広げてまったりと見てたり。すっかり、正月に親戚がいっぺんに集まったときみたいな雰囲気になってました。なんだこの時間の止まりっぷりは。楽しいねえ。

そうしたまま無限とも思える悠久の時間をすごした後に、「ぼちぼち出た方がいいんじゃねえか」ということで店を出ました。

まあこの後にも、中洲ぜんざい食べに行ったり、カラオケ行ったり、キャナルシティの映画館で「オペラ座の怪人」見たり、ケンタッキーで軽く食べたり、結局麻雀したり(笑)したんですけれども、もうそこまで書く気力がなくなったので、この辺で。つうかここまででもじゅうぶん長いな。読んだひとお疲れ様、ありがとうです。