夢から覚めるために眠る。

ずっと眠っていたいというのは、死んでいたいというのと同じことなのだろうな、と思った。ずっとうたっていたいというのは、ずっと夢の中にいたいというのと同じことなのだろうな、と思った。眠っているときは、うたっていなくてもよくて、ただ安らかでいたい。うたっているときは、たぶん俺は俺の人生を生きていない。

ただほんとうは、眠っているときにこそ生きているし、うたっているときにこそ生きている。そうしたら、うたわずにただ目覚めているときは。それが自分なのかどうか判らないままに。身体を動かして笑っている。そうして金や優しさを貰っている。金や優しさを貰うために生きている。いや、生きているのかどうかは判らない。ただ身体を生かすためだけに身体を動かすことを生きていると言うのであれば、そうしている。嬉しい出来事は、ぜんぶ夢の中で。早く覚めたいから、毎日、眠り続ける。ずっと夢の中にいるから、何も掴めなくて、涙ばかり零れる。

遠回りの途中で斃れる。